蓄電池を知る
設置しておくと安心!災害時に役立つ家庭用蓄電池
蓄電池
2020.06.26

家庭用蓄電池が注目を浴びたきっかけは、2011年に発生した東日本大震災でした。
2012年から蓄電池の導入に関して補助金が交付されるようになり、災害への不安も相まって、災害時の非常用電源として導入する家庭が増加しました。
また、この数年を振り返るだけでも地震や台風など、停電をともなう災害が毎年発生しています。停電の復旧までに1週間以上を要しているケースも多く、ある日突然普通の生活ができなくなることを想定して備えておく必要があります。
この記事では、そんな災害に備えて停電時に使える自家発電システムと、蓄電池について解説します。
停電時に使える4つの自家発電システム
停電した時の備えとして活躍する自家発電システムは、主に以下の4つです。
- 太陽光発電システム
- 燃料電池(エネファーム)
- エンジン式発電機
- 手動式発電機
では、これら4つの自家発電システムについてそれぞれ説明します。
- 太陽光発電システム
現在、多くのご家庭に導入されているこちらの太陽光発電システム。太陽光パネルに太陽の光を集めて電気を作るというシステムです。
既に太陽光発電を設置しているという方も多いと思いますが、現在は太陽光発電で発電し、自宅で使い、余った電力を売電していたという人は多いでしょう。
太陽光発電が稼働できるのは太陽が出ているときのみとなっており、雨が降っていたり曇っていた場合は発電できないことはありませんが、発電量は少ないですし、夜間は発電できないのがデメリットです。
また、太陽光発電で発電した電気を「蓄電池」に貯めていざという時に使うという方法もあり、現在は太陽光発電を設置している方から注目を集めています。
- 燃料電池(エネファーム)
燃料電池は、都市ガスやLPガスから取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて電気を作り出します。
更に、発電の際に発生した熱を活用してお湯を沸かして給湯に利用することが可能です。ただし、ガスも止まってしまった場合は、発電できなくなります。
- エンジン式発電機
エンジン式発電機は、ガソリンなどを燃料としてエンジンを回して発電する機器のことで、発電量が1000VAを超えるものもあり、テレビや冷蔵庫などの家電も稼働させることができます。
ただし、燃料がなくなれば使用できなくなり、環境問題や騒音も出るので近所迷惑になる可能性もあるため注意が必要です。
- 手動式発電機
小型の懐中電灯などに取り入れられているもので、手や足でハンドルやペダルを回して発電することができます。
人力で稼働するので燃料がいらないという利点はありますが、停電時の電力を賄うには発電量が少ないので注意が必要です。
手動式発電機は懐中電灯の他に、携帯電話の充電やラジオなどの小型電気製品の充電用といったものが中心になります。
では、実際に停電した場合、どれくらいの発電量が必要になるのでしょうか。
停電時に1日で消費する電力
災害などで停電が発生した場合、停電時に1日で消費する電力はおよそ4kWh前後といわれています。
つまり、停電時に蓄電池で家電を動かそうと思った場合、最低でも「4kWh」以上の蓄電池があれば、少なくとも24時間はしのげるということです。
8kWhの蓄電池なら2日、12kWhの蓄電池なら3日、停電時でも電力供給無しでしのげるということになります。なお、実際に蓄電池を購入する際には、同時に動かせる数を決める「出力」も気にしながら選ぶようにしましょう。
使用することが予想される家電には、冷蔵庫など24時間使用しているものも含まれており、さらには災害速報などの情報収集用にパソコンやテレビも必要です。
もちろん、他にも各ご家庭で必要な家電は変わってきます。工夫次第で消費電力は抑えることができるので、自分の家庭が消費しうる電力量をあらかじめ確認しておきましょう。
停電時に蓄電池で家電を使用する手順
では、災害などによる停電時に、実際にどうやって蓄電池を使用して家電を動かす手順をご紹介します。
蓄電池には「全負荷型」と「特定負荷型」 の2種類があり、それぞれ家電を動かす手順が異なります。
- 家全体の電気をバックアップしてくれる「全負荷型」蓄電池
「全負荷型」の蓄電池の場合、停電が発生すると瞬時に蓄電池からの電力供給に切り替わるため、普段とほとんど変わらずにそのまま家電を使用し続けることが可能です。
災害に備えるために蓄電池を導入するのであれば、この「全負荷型」がおすすめです。
- 電力を供給するエリアをあらかじめ選んでおく「特定負荷型」蓄電池
「特定負荷型」の蓄電池は、停電が発生するとあらかじめ選んでおいたエリアは引き続き家電が使えますが、それ以外の部屋では電気が使用できなくなります。
例えば、一階のリビングのみ電気が供給されるように設定してある場合、一階のリビング以外の部屋の家電は使用することができません。
あまり容量が大きくない蓄電池はこの「特定負荷型」の場合が多いので、購入予算などと相談しながらどちらの蓄電池にするかを決めましょう。
自立運転が自動切り替えになっているかを確認
蓄電池を購入して設置したけど、いざという時に操作方法が分からずに結局役に立たなかったということだけは避けたいところ。
蓄電池は出荷時に自立運転が手動になっているため、施工業者が自動切り替えにしていなかった場合、自分で設定しなければなりません。
ほとんどの施工業者が自立運転を自動運転に切り替えをしているはずですが、念のため取扱説明書などを確認して、自立運転が自動切り替えになっているかどうかを確認しておくか、施工業者に直接確認を取ってみると良いでしょう。
災害時は太陽光発電と蓄電池の併用がベスト
先ほど、停電時に1日で消費する電力はおよそ4kWhであることを解説しました。8kWhや12kWhなど容量が大きな蓄電池であれば、2~3日程度しのぐことはできますが、やはり限界はあります。
災害によっては1~2週間も停電が続く場合があるので、蓄電池の電力残量が切れたら電気が使用できない状態になってしまいます。
ですが、太陽光発電が設置されていれば、1~2週間電気を使い続けることが可能です。
太陽光発電は太陽光から電気をつくり出すので、晴れている日の昼間の電気は、太陽光発電で賄うことができます。さらに、使用しきれなかった電気を蓄電池に貯めておけば、夜間は蓄電池の電気を使用することができます。
災害時に備えようと思っている方は、経済的なメリットも期待できる太陽光発電も蓄電池と同時に設置することをおすすめします。
まとめ
ここ数年の大規模な災害を受けて、停電が発生しても電気を使うことができる家庭用蓄電池が注目され、その需要を伸ばしています。
現在、蓄電池の設置を考えている方は、国や自治体から補助金が出る場合があるので、一度確認することをおすすめします。
これからも安心して生活していくために、自家発電システムと蓄電池の導入を検討してみてはいかがでしょうか。